こんなの。

チープ指向刺激しまくり(笑)。子供のヘタクソな工作みたいだが、笑うなかれ、なかなかのスグレモノなのである。
早朝あるいは深夜にしか練習できないアマチュアにとって、プラクティスミュート(サイレントミュート)は命綱である。ヤマハのサイレントブラス(のピックアップミュート)は、さすがに開発に苦心しただけのことはあって、その消音性能はピカイチであると思う。音域による鳴りムラもほとんどないし、吹奏感についても、これを苦しいと思う人はいるだろうが、実はよくこなれている。このことはベストブラスのウォームアップミュートと比較するとよく分かるが、実は息の通り具合はサイレントブラスの方がずっとよい。これはおそらく開口部の大きさがものをいっているのだろう。しかしながら、サイレントブラス最大の弱点は、その重さである。材質や複雑な内部構造の故にかなりの重さとなっていて、これが左腕に対してかなりの負担となる。ラッパならまだしも、フリューゲルやさらにはトロンボーンとなると長時間の練習はほとんど不可能である。また、内部構造の複雑さは音の立ち上がりに対してもかなりの影響を与えているようで、細かい音符を吹くときにはアタックが立ちにくく、かなりのきつさを感じさせる。長い音符ならよいのだが。
その点、後発のベストブラス社ウォームアップミュートはよくできていて、何よりもその軽さ(40グラム)が最大の魅力である。軽さのおかげで左腕の負担も皆無、しかも細かい音符のあたりやすさは特筆に値する。けれども、音程(あるいは鳴りムラ)や息の通り具合という点では、サイレントブラスに劣ると言わざるを得ない。低音域になるほど音程のツボがはっきりしなくなって鳴りが悪くなるし、全般に吹奏感のフォーカス具合が甘い。音程のツボがはずれているのかと思って上下に探ってみるとツボは間違いなくそこにある。ツボにあたったときの「あたった」という感じが弱く、ピントがぼけた感じ。これが抵抗感というか苦しさを感じさせる原因ともなる。また、サイレントブラスに比べて、取り付ける楽器を変えたときの鳴りのばらつきも大きいようである。B管/C管、あるいはピストン/ロータリー楽器で全然感じが変わってしまう。ロータリーB管などは全然ダメだった(これはベルの太さにも原因があるだろうが)。
まあそんなわけで、プラクティスミュート、なんとかならないかなあと思っていたわけである。100万の防音室を入れるという解はこの場合ありえない。某所で某トロンボーン奏者の方のプラクティスミュート自作話なども聞いていて、そういう手もあるかなあと思って試したことはあったのだが、とにかく軽いのはよいのだけれども、どうも消音性能がイマイチ。音色のフォーカス具合もいまひとつ。音を小さくしようと思って穴の直径を小さくすると、今度は如実に吹奏感が悪くなる。穴を大きくすれば息の通り具合はよくなるが、音量は大きくなるし、薄っぺらいアルミ独特のビリビリ音が耳につく。缶の中に吸音材を突っ込めばモサモサして当たりが悪くなるだけ。そんなわけで、まあいいや、当面サイレントブラスで、と思っていたのである。
ところが、今日、ベストブラスのウォームアップミュートの中を覗いていて、ふと思いついた。これ(ベストブラスのは外見は穴があいているだけのように見えるが、内部にはアルミのチューブがつきだしているのである)と同じことをやってみたらどうなるかな。そして試してみた。適当なストローを穴に突っ込んだだけなのだが、これが想像以上の効果をもたらした。消音性能アップ、そして音色もアップ。吹奏感もスムーズだし、低音域の鳴りムラや音程の悪さも感じられない。軽いので左腕も楽だし、音の立ち上がりもクリア。驚き桃の木山椒の木。ウソだと思ったら試されたい。以下にレシピを。
■材料
(1) DyDo 缶コーヒー「D-1」ブラック 340g の空き缶。ほかにポッカなど何種類かを試してみたが、試した範囲ではこれが一番音程がよいようである。(ちなみに私はコーヒーはまったく飲まないので中身はすべて廃棄。ダイドーさんごめんなさい)
(2) 1cm くらいの厚さのウレタンフォーム
(3) カゴメの乳酸菌飲料「ラブレ」80ml3本パックに添付の伸びるストロー。まあなんでもいいのだけど、太さと長さがちょうどいいあんばいだったので。
これだけ。ウレタンはずいぶん昔に買ったものが家にあったので、実質的な出費は数百円。格安。ほかに、両面テープと接着剤、若干の工具類。
■工程
(1) 空き缶にハンドドリルで穴を開ける。今回は 3.8mm 径のドリル刃を使用。穴の大きさで如実に吹奏感と音量が変わるため、ストロー共々いろいろ試してみるとよい。穴を開ける位置は写真参照。これもいろいろ試してみるべし。ただし、缶底の中央に穴を開けると、息の通りがよくなりすぎるせいか、ミュート(笑)の鳴りがよくなってかなり音量が上がってしまうのでやめた方がよい。今回はあえて口に近い部分、ベルからぎりぎり見えるあたりをねらった。
(2) 缶の口に、適当な大きさに切ったウレタンフォームを両面テープで貼り付ける。ウレタンの大きさ、貼り付け方は各自工夫すべし。ウレタンの厚みは、たぶん1cmくらいがちょうどよい。もっと薄いと楽器に取り付けたときにきちんと固定できないし、もっと厚いとたぶん音漏れの原因になる。
(3) (1) で開けた穴をセンターポンチあるいは目打ちなどで少し広げたあと、伸ばしたストローを差し込む。缶の中に 5cm ほどストローが突き刺さった状態。必要に応じて接着剤で固定する。
(4) 場合によっては、共振防止用に、缶底に500円玉を貼り付けるとよいかもしれない。これは両面テープなどでなく、エポキシ系接着剤などでがっちり固めた方が良さそうな気がする。ただし今回は、大幅に制作費がふくらんでしまう(笑)のでこれは見送った。金欠を脱したら試してみたい。
以上、完成。ベストブラスをはるかに凌ぐその軽さ、実にたったの21グラム!
いやあ、長かった(笑)。
だれか実際に試してみた人、感想を聞かせてください。